公演日誌

2025-10-22 12:00:00

節目

 おはようございます。昨年の冬以来の、公演日誌執筆となります。時がたつのは早いもので、つい最近入団して『グレートマイファミリー!』に参加したと思っていたら、あっという間に「卒団」という文字がすぐ目の前まで来てしまいました。しかし、引退からこの卒業公演までは短いようで少し長いものでした。どうやら、私の中で月光斜という存在は思っている数十倍数百倍大きかったようです。

 

 今公演では、ありがたいことに主演のミズヲ役をいただいております。振り返るとたくさんの役をいただき、たくさん舞台に立たせていただきましたが、この役への思い入れは、一段と強いものがあります。

 今公演は長崎が舞台となっており、チラシにも記載がある通り、原子爆弾を連想させる内容が含まれております。

私の地元は福岡です。修学旅行や家族旅行など、様々な場面で長崎に行く機会がありました。当然、そこで原子爆弾というものにも触れてきました。また、祖父が毎年、地元で「平和のための戦争展」というものを開いているのですが、そこでも原子爆弾について触れることがしばしばありました。そのこともあってか、幼少期から原子爆弾というものへの漠然としたトラウマを抱えていました。いえ、正直今でも抱えています。しかし、この恐怖心は、決して悪いものではないと思うのです。今回ミズヲという役と向き合っていくうえで、私自身、再び原子爆弾と向き合うことになりました。少しでも、理解しようとしました。それが出来たのかどうかは分かりませんし、経験していない以上、決して「理解した」とは言えないと思います。ですが、戦争を経験していない世代である我々が、こうして少しでも理解しようとすることは、絶対に無駄なことではないし、絶対に必要なことだと感じています。

 今年は戦後80年という節目の年となります。戦争を経験された方々もどんどん少なくなっています。でも、経験者がいなくなってしまったときに誰も語り継いでいく人間がいなくなってしまったら、その恐怖が薄れていってしまったら、人は必ず、歴史を繰り返してしまいます。だからこそ我々が、次の時代を担っていく我々が、戦争や原爆というものについて理解しようとすること、そして発信しようとすることは、非常に重要なことだと思うのです。

 現在、日本の、そして世界の情勢が穏やかではない状態となっています。私には、それをどうこうする力はないかもしれません。また、この場で政治的なことを言うつもりも毛頭ございません。ですが、この作品を通して、何かを発信することはできると思っています。ぜひ劇場で、受け取っていただければと思います。

 

 先ほど戦後80年の節目と申しましたが、今公演は私たち54期にとっても、「卒団」という節目にもなります。冒頭でも少し申しましたが、私の中で月光斜という存在が、自分で思っていた以上に大きな存在となっていたようです。何事にも「最後」が付く様になってまいりました。この公演日誌を書いている今日も、「最後」の稽古です。

 私はこれまで、自分自身の卒団で泣くことは絶対にないと思っていました。先輩が卒団されるときは先輩との「別れ」が寂しかったですが、卒団するのが自分自身なら、その「別れ」はない。そう思っていたんです。でも、違うんですね。私は今公演で月光斜との「別れ」の時を迎えるんですね。今では、自分自身の卒団で泣くことは絶対にない、と言える自信はありません。私は、舞台上では芝居以外で泣かないと決めているのですが、もしカーテンコールの時泣いていても、許してください。

 

 

 最後に、月光斜に入団してから私を引っ張ってくださった先輩方、こんな私を慕ってくれた後輩たち、月光斜で活動することを応援し、支えてくれた両親、全てのお客様、そして何より、たくさんの苦楽を共にした最高の同期達、本当にありがとうございました!!!皆さんのおかげで、最っ高の月光斜人生、そして大学人生でした!!

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