公演日誌
めぐりあひて
皆さん、おはようございます。こんにちは。こんばんは。2023年度冬公演『ドッペル・クラウンとおもちゃ箱』の演出を務めました、水無瀬融です。私は公演後の年の瀬にということなので、公演を終えての心境を綴ります。これを読んでくださっている方は、もれなく冬公演を見てくださった方でしょう。変に圧をかけてしまってすみません(笑) 見れてない!という方も、2月にアーカイブ映像をYouTubeで公開する予定ですので、ぜひご覧ください。
さて、その冬公演ですが、まさか僕が演出なんて、さらには最後の引退を演出でなんて思いもしていませんでした。てんやわんやで始めた公演ですが、いま思うとこれが僕の月光斜生活の最後のピースだったような気もします。実際に終えてみていちばんの感想は、「これまでの演出、ごめんなさい」です。演出をやってみて、いかに自分がわがままな役者か、生意気な後輩かがわかりました。立場が変わって分かるものですね。それと同時に、この月光斜という団体、そしてそのメンバーへの愛が深まったと感じます。作中でアカリが自分のなかの支えてくれる存在に気づき、成長していくように、僕も公演を進める中で今まで気づかなかったものを見つけられました。僕にとって月光斜は想い出の「おもちゃ箱」そのものです。大切な、大切な思い出。
さて、そんなこの劇団ともひとまずお別れです。色んな想いが駆け巡りますが、ある和歌になぞらえて結びとしたいと思います。
めぐりあひて見しやそれともわかるまに雲がくりにし夜半の月影
これは来年大河ドラマとなる紫式部による歌で、束の間の友人との再会を月になぞらえて偲んでいます。
月光斜で本格的に活動したのは1年と半年。とくに今年度は本当にあっという間で、しんどいとか、楽しいとか浸っていた記憶もないような束の間でした。月光斜が好き、演劇が好き、芝居が好き、そうとわかってすぐにもう離れてしまう。あと1年あればという気持ちが無いと言えば嘘になります。ですが、ここに後悔はありません。支えてくれたみんな、そして応援してくださった皆様、本当に、本当にありがとうございました。来年も、そしてこれからも劇団月光斜をよろしくお願いします。
ありがとう。そしてさようなら。
いつかまた、もう一度会えることを信じて。
演出/水無瀬融